賃貸物件の契約期間で2年が多い理由は?更新の手続き方法と途中解約を解説

賃貸物件の契約期間で2年が多い理由は?更新の手続き方法と途中解約を解説

引っ越し先を探しているときに、長く住みたいのに契約期間が2年の物件ばかりで困惑していませんか?
賃貸借契約には、契約期間を満了しても住み続けられるものと退去しなければならないものがあります。
こちらの記事では、賃貸借契約の形態と2年契約が多い理由をお伝えしたうえで、普通借家契約の更新手続きと契約満了前の解約について解説します。

賃貸借契約の契約形態とは?契約期間が2年に設定される理由

賃貸借契約の契約形態とは?契約期間が2年に設定される理由

賃貸借契約を締結するときには、契約形態と契約期間をチェックするべきです。
契約形態は、大きく分けて普通借家契約と定期借家契約の2種類に区分されます。
三大都市圏の賃貸物件のうち93.1%が普通借家契約で、特別な事情がない限りは定期借家契約では貸し出されません。
契約期間は2年に設定されるケースが多いですが、ごく稀に1〜3年など異なる期間が設定されています。
各契約形態の特徴と契約期間が2年に設定される理由について解説します。

普通借家契約とは

ほとんどの物件が採用している普通借家契約は、1年以上の契約期間を定めています。
基本的には、2年に設定している貸主が多いですが、ごく稀に1年や3年に設定している物件もあります。
期間満了しても、借主(入居者)が希望するのであれば、契約更新して住み続けられますが、貸主側に正当な理由があれば契約解除が可能です。
近年は借主が申し出なくても自動的に更新されるケースが多いですが、そうでない場合は満了時に仲介業者などを介して手続きが必要です。
更新料は契約内容によって異なるものの、一般的には家賃1か月分相当の金額が請求されます。

定期借家契約とは

定期借家契約は、契約更新できないため、期間満了したら即退去しなければなりません。
主流ではないものの、「1年後に大規模修繕をしたい」「転勤している半年間だけ家賃収入を得たい」などの貸主都合で、一定期間だけ貸し出されるケースにおいて用いられます。
ただし、交渉をして承諾が得られれば、更新ではなく再契約の手続きをおこなうと引き続き住み続けられます。
しかし、再契約できる可能性は低いので、基本的には期間満了とともに退去するつもりで契約しましょう。

契約期間で2年間が多い理由

一般的な賃貸借契約で契約期間が2年間に設定されるケースが多い理由には、借地借家法と日本のライフサイクルの傾向が関係しています。
まず、1年未満の契約は借地借家法で「期間の定めがない」とみなされて、解約の連絡を1か月前におこなうなどのルールが設定しづらくなり、貸主に不利になります。
そうなると、次の借主をみつけるまでの空室リスクが大きくなってしまうので、契約期間が1年未満に設定されるケースはほとんどありません。
続いて、日本の大学は4年制・短期大学は2年制で、社会人の転勤も2年周期でおこなわれます。
こういった日本人のライフサイクルの傾向において、1年や3年だと利用しづらくなるので、もっとも利用しやすい2年間が採用されています。

普通借家契約した賃貸物件の更新手続きの手順と更新料

普通借家契約した賃貸物件の更新手続きの手順と更新料

普通借家契約の場合、契約期間の満了を迎えても借主が希望すれば更新できます。
ただし、満了時に手続きが必要な契約もあるので、重要事項説明や賃貸借契約を締結するときに確認するようにしましょう。
自動更新の場合と自動更新にならない場合の手続き方法と更新料について解説します。

自動更新の場合の更新手続きの手順

自動更新の場合、住み続ける予定であれば、特別な手続きや申告なしで契約年数が更新されます。
ただし、退去を希望する場合に限っては事前申告が必要です。
契約満了とともに退去する事実を貸主に伝えておかなければ、次の借主を探すまでの期間は家賃収入を得られなくなってしまうためです。
契約書の解約項目にて「退去予定日の1か月前までに連絡する」「退去日の10週間前までに退去予告を通知する」など規定が記載されているので、あらかじめ確認しておきましょう。
契約書に記載されている期間を守らなければ、超過分の賃料を請求される可能性があります。
また、ごく稀に契約条件が変更されるため、変更点がないかを確認して、あとから認識の違いでトラブルが発生しないように気を付けましょう。

自動更新にならない場合の更新手続きの手順

自動更新にならない場合、契約満了から1〜3か月ほど前に、貸主や仲介業者から更新する意思があるかどうかを確認されます。
引き続き住み続けるのであれば、送付される書類をよく読んで、署名・押印をして期日内に返送すれば完了です。
退去するのであれば、解約手続きをして退去します。
仲介業者からの連絡よりも以前に、自ら申告が必要な場合もあるため、申告期日がいつに設定されているのかについては、契約書で確認しましょう。

更新料の確認方法と相場

更新料がかかるのか・いくら支払うべきかは、物件ごとの契約状況によって異なるので、契約書もしくは更新手続き書を確認しましょう。
国土交通省「民間賃貸住宅に係る実態調査」では、神奈川県や千葉県の徴収割合が80〜90%ほどで、更新料の相場は家賃0.8〜1か月です。
大阪府や兵庫県は徴収割合がかからず、京都府は徴収割合が50%ほどで、更新料の相場は家賃1.4か月分とやや高く設定されています。

契約満了前に賃貸物件の途中解約できる?

契約満了前に賃貸物件の途中解約できる?

転勤など不測の事情で、契約満了よりも前に途中解約しなければならないケースもでてくるでしょう。
基本的に、途中解約で違約金は発生しませんが、あまりにも早すぎる退去や申告のタイミングによっては、違約金が発生する可能性があるので気を付けましょう。
ここでは、契約満了前の途中解約で知っておくべきポイントを解説します。

早期退去や解約条項があると違約金がかかる

基本的に違約金は発生しないとお伝えしましたが、普通借家契約も定期借家契約も一定期間住む前提で契約を締結するので、ホテル感覚で入居して1〜2週間で退去する借り方は不適切です。
そういった利用方法を避けるためにも、契約内容によっては一定期間内に解約を申し出た場合は違約金を払うように規定している物件があります。
契約書の解約条項で、違約期間が発生する期間と金額を確認しましょう。

借主都合か貸主都合かによって手続きが異なる

借主都合で途中解約する場合、契約書に記載されている期日よりも前に解約の申し出をして手続きをおこないます。
一般的には退去を希望する日から1か月前までに申告が必要ですが、オフィスや店舗などの大きな物件だと6か月前に設定されている可能性があるので注意が必要です。
貸主都合で途中解約する場合、6か月前までに借主に対して解約の申し出をして手続きをおこないます。
住む家を追われる立場の借主を保護するために、貸主都合の解約は制限が厳しく設けられています。
ただし、家賃滞納やペット禁止物件でペット飼育など契約違反が発覚した場合、6か月よりも早い期間で退去を要求できる決まりです。

解約予告の期限内に連絡する

契約満了前に途中解約する場合、貸主は家賃収入が途絶えないように次の借主を探さなければなりません。
法的に問題ないとしても家を貸してくれている方に迷惑をかけてしまうので、退去が決まった時点で貸主や仲介業者に連絡するようにしてください。
退去時は引っ越し準備などで手続きや作業が多くなるからこそ、解約手続きを早く済ませると負担を軽減できます。

まとめ

学生や社会人のライフサイクルにあわせて、契約期間を2年で設ける賃貸物件が多いです。
満了時に更新もしくは再契約できるか否か、更新料の有無については、すべて契約書もしくは重要事項説明書に記載されているのでしっかりと読みましょう。
満了前に途中解約を希望する場合、契約書に記載されている期日よりも早い時期に貸主や仲介業者に連絡をして手続きに進みましょう。