不動産相続で発生する税金の種類とは?計算方法や控除をご紹介!

不動産相続で発生する税金の種類とは?計算方法や控除をご紹介!

不動産を相続すると、多くのケースで税金が発生します。
これらの税金を事前に把握しておかないと、不動産相続で失敗する可能性があるので注意が必要です。
そこで今回は、不動産相続で発生する税金の種類や計算方法とともに、利用できる控除制度をご紹介します。
不動産の相続をする予定の方は、ぜひ今後の参考にしてみてください。

不動産相続で発生する税金の種類

不動産相続で発生する税金の種類

不動産を相続したときに発生する税金は、主に「登録免許税」と「相続税」の2種類です。
相続を予定している方は、あらかじめ税金の種類を確認しておくことをおすすめします。
以下で、登録免許税と相続税の意味や納税方法をチェックしておきましょう。

登録免許税とは

登録免許税は、不動産の登記にかかる税金です。
不動産を相続した場合、被相続人から相続人への名義変更をおこなう「相続登記」が義務付けられています。
手続きを怠ると罰則が科されるため、注意するようにしましょう。
登録免許税は原則として現金で納付します。
場合によっては、収入印紙を貼り付けて納付することも可能です。
そのため、手続き時に確認することをおすすめします。
現金で納付する場合は、まず金融機関に行き、専用の納付書に必要事項を記入して窓口に提出し、登録免許税を支払います。
支払いが完了すると領収書が交付されるでしょう。
それを登記申請書に貼り付けて登記所に提出すれば納付手続きが完了します。
収入印紙で納付する場合は、法務局や郵便局で収入印紙を購入し、専用の台紙に貼り付けて納税します。

相続税とは

相続税は、相続する財産の総額が基礎控除額を超えた場合に課税される税金です。
納付は原則として一括払いです。
税金の計算を自分でおこない、納付書を作成する必要があるため、早めに手続きを進めることが重要になります。
相続税の申告・納付の期限は、相続を知った日の翌日から10か月以内です。
期限を過ぎると罰則が科せられるため、注意するようにしましょう。
場合によってはクレジットカード払いが可能なこともあるので、分割払いを希望する場合は、事前に金融機関に相談することがおすすめです。

不動産相続時に発生する税金の計算方法

不動産相続時に発生する税金の計算方法

不動産相続では、登録免許税と相続税の2種類が税金として課せられます。
直前で慌てないためには、あらかじめ計算方法を把握しておくことが大切です。
以下では、登録免許税と相続税の計算方法をそれぞれご紹介します。

登録免許税の計算方法

登録免許税の計算式は、以下のとおりです。
登録免許税=固定資産税評価額×0.4%
固定資産税評価額は、固定資産税を決定する際の基準となる評価額です。
土地の場合、時価の約70%が目安となります。
ただし、土地の形状や面積、道路状況によって価格は異なるため、一概には言えません。
土地の時価を参考に固定資産税評価額を判断する際は、あくまで目安として扱うべきでしょう。
また、新しく建てられた建物については、請負工事金額の約50~60%が固定資産税評価額の目安とされています。
しかし、住宅の規模や構造、築年数などその他の条件によって評価額は変動する可能性があります。
目安として計算をおこなう際、算出時には1,000円未満を切り捨てることが必要です。
さらに、登録免許税も100円未満を切り捨てた金額を納付するため、間違いがないよう注意しましょう。
なお、固定資産税評価額は、市区町村役場が3年に1度見直しをおこない決定します。
管轄の役場で固定資産評価証明書を取得または閲覧し、そのあとに登録免許税の計算をおこなうことが重要です。

相続税の計算方法

相続税を計算する際、まず不動産の相続税評価額を求める必要があります。
相続税評価額とは、預貯金や土地・建物などの財産を評価した金額です。
計算方法には「路線価方式による評価」と「倍率方式による評価」の2種類があります。
どちらの方法を適用するかは、その土地の所在地によって決まるため、事前に確認しておくことが重要です。
路線価方式は、国税庁が定める路線価を用いて土地を評価する方法で、以下の計算式が使われます。
正面路線価×各補正率(奥行価格補正率など)×面積
一方、倍率方式は固定資産税の評価額に規定倍率を掛けて評価額を算出する方法です。
路線価と評価倍率は国税庁のホームページで確認できるので、相続税評価額を算出する際に参考にしましょう。
すべての遺産について相続税評価額が把握できたら、その合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求めます。
基礎控除額の計算式は、以下のとおりです。
基礎控除額=3,000万円+600万円×相続人の人数
課税遺産総額の算出後、相続人それぞれの課税価格を計算します。
以下がその計算式ですので、事前に把握しておきましょう。
課税価格=課税遺産総額×法定相続分
相続人それぞれの課税価格が求められたら、以下の計算式で相続税を計算します。
相続税=課税価格×税率-控除額
税率と控除額は、課税価格に応じて変動するのが一般的です。

不動産相続時に利用できる控除制度

不動産相続時に利用できる控除制度

不動産相続時には要件を満たせば、控除が利用できます。
ケースによっては大幅な節税効果が見込めるので、事前に制度の内容や適用条件を確認しておきましょう。
不動産の相続で利用可能な控除は、主に以下の3種類です。

利用できる控除①贈与税額控除

相続時には、1つの財産に贈与税と相続税が二重に課税されるケースがあります。
これは住宅資金贈与制度を利用した際にしばしば発生するものであり、相続人の負担を軽減するには「贈与税額控除」を活用することが有効です。
贈与税額控除では、相続税と贈与税を二重に支払わなくて済むよう、相続税から一定額を控除できます。
ただし、これらの手続きは自分でおこなう必要があり、申告期限から5年を過ぎると更正の請求ができなくなるため、注意が必要です。

利用できる控除②配偶者控除

配偶者控除は、相続税の負担が大きいために相続放棄する事態を避けるために設けられた制度です。
この制度を適用すると、被相続人の配偶者が法定相続分相当額以下の財産を相続した場合、相続税がかかりません。
戸籍上の配偶者であることや、相続税の申告期限までに遺産分割が完了していることなどが条件となるため、事前に確認しておくことが重要です。
要件を満たすことで大幅な節税が可能となり、故人の配偶者の負担も軽減されます。

利用できる控除③相次相続控除

相続が発生すると、税金の負担は大きく、短期間に同じ財産に対して相続税を再度支払う可能性があります。
そのような場合に活用できる制度が「相次相続控除」です。
10年以内に相次相続が発生した場合、この制度を適用すると、相続税の負担を軽減することができます。
控除は経過年数に応じて、1年につき10%の割合で減額される仕組みとなっているため、前回の相続から期間が短いほど控除額が大きくなります。
控除を適用できるのは故人の相続人に限られており、遺言書で財産を受け取った場合でも相続人でない場合は利用できません。

まとめ

不動産相続で発生する税金の種類は、相続登記にかかる「登録免許税」と、財産総額が基礎控除額を超えたときに課税される「相続税」の2つです。
税金の種類ごとに計算方法が異なるので、事前に確認しておくことをおすすめします。
不動産の相続で税金を抑えたいなら、贈与税額控除や配偶者控除・相次相続控除を利用すると良いでしょう。